前回はオーストリアのグラーツ近郊にあるベルンバッハのフンデルトヴァッサー教会 (聖バーバラ教)へ行ってきましたが、フンデルトヴァッサー教会を知ることになったきっかけがクラーゲンフルトにあるミニムンドゥスです。
まずはクラーゲンフルトからスタートです。
ケルンテルン州都 クラーゲンフルト (Klagenfurt)
クラーゲンフルトはオーストリアの南部にあるケルンテルン州の州都です。
アルプス山脈に囲まれた町、クラーゲンフルトの西側にはヴェルタ―湖 (Wörthersee) があり、夏の避暑地として観光客で賑わっています。
ケルンテルン州は、イタリアとスロベニアの国境があり、以前に行ったドブラッチ自然公園もケルンテルン州にあります。
今回はクラーゲンフルトの町の中心地にあるノイアー広場 (Neuer Platz) から出発して、歴史地区を散策しました。
クラーゲンフルトのGoogleマップ
➀ ノイアー広場 (Neuer Platz)
② ヴェルタ―ゼマンドル (Wörtherseemandl)
③ アルタ―広場 (Alter Platz)
④ 聖エギド教会 (Pfarrkirche St.Egid)
⑤ クラーゲンフルトのドゥオーモ (Klagenfurt Cathedral)
⑥ ミニムンドゥス (Minimundus)
➀ ドラゴンの噴水があるノイアー広場 (Neuer Platz)
ノイアー広場の西側には新市庁舎があり、東側にはマリア・テレジアの記念碑があります。マリア・テレジアはオーストリアのハプスブルク家出身の君主で、マリー・アントワネットは彼女の末娘でした。最初の記念碑は1765年に建てられましたが、のちにブロンズ像に置き換えてられています。


ノイアー広場の中心には町のシンボルの一つであるリンドヴルム・ブルンネン(Lindwurmbrunnen) というドラゴンの噴水があります。

16世紀に造られたリンドヴルムは伝説上のドラゴンです。伝説によると、元々は湿地帯であったクラーゲンフルトは、たびたび霧に覆われて不気味な場所でした。この湿地にドラゴンが潜んでいて、放牧していた牛や羊などが近づくと跡形もなく消えていきました。のちにドラゴンが集落にも近づいてきて住民への脅威が迫ってきました。伯爵が懸賞金を用意すると、勇敢な男たちがドラゴンを捕まえる計画をたてました。
雄牛を鎖につないで大きな釣り針のようなものを取り付けました。囮となった雄牛に襲い掛かったドラゴンに釣り針が刺さり、弱ってきたドラゴンを男たちが倒したそうです。その後、湿地帯は排水され、農耕地となり町は発展していき、この集落がクラーゲンフルトになったそうです。
噴水は1624年に造られ、ドラゴンの前に建っているヘラクレスの像は1636年に造られました。
ノイアー広場を後にして、クラーマーガッセ 通り (Kramergasse) を歩いていくと、本屋の前に本の自動販売機がありました。日本にもあるようですが、私は初めてみました。


一つ目の交差点には、クラーゲンフルトの姉妹都市のモザイクが描かれています。
日本にはクラーゲンフルトとの姉妹都市はありません。

その近くにヴェルター湖の小人・ヴェルタ―ゼ―マンドル (Wörtherseemandl) があります。
② ヴェルター湖の小人 ヴェルタ―ゼーマンドル
ヴェルターゼーマンドルも伝説の人物で、クリスマス(もしくはイースター)の前夜パーティーにヴェルターゼーマンドルが現れました。この特別な日に祈りを捧げずにパーティを楽しむ人達に、神に祈りを捧げるように警告しましたが、皆は彼を笑いました。それに激怒したヴェルタ―ゼーマンドルは樽の栓を開けると、水が流れ出てきて洪水が起こり、短時間で住民と町を沈めてしまったそうです。この時にヴェルタ―湖が作られたと言われています。

今では、ヴェルタ―ゼマントルは幸運を呼ぶと言われているので、樽から流れ出ている水がある場所にコインを投げる人もいます。
③ 歴史的建造物に囲まれたアルタ―広場 (Alter Platz)
アルタ―広場は歴史的地区の中心にあり、中世に建てられた歴史的建造物に囲まれています。
写真の右端の建物は旧市庁舎で、時計の下にはローマ神話の女神ユースティティアと、クラーゲンフルトとケルンテルン州の紋章が描かれています。

写真でみると広場の奥にある15世紀に建築された黄金のガチョウの家と呼ばれるクラーゲンフルトで一番古いと言われている建物があります。カフェのテントで見えませんが、中央入口のアーチの上に金のガチョウの彫刻があります。
写真の手前にはトリニティ(三位一体)の柱 (Dreifaltigkeitssäule) があります。17世紀にペストが流行した直後に建てられたので、ペストの柱とも言われています。1683年からのオーストリア・トルコ戦争の勝利を記念して、以前は木造であった柱が石と大理石で再建されました。柱の上部には横たわる三日月 (オスマン帝国)の上に十字架が設置されていて印象に残る柱です。

黄金のガチョウの家の左横の小道を歩いていくと、ラントハウス (Landhaus) があります。
1587年に完成したラントハウスは、オーストリアのルネッサンス様式の建物の1つです。
博物館になっていて、中には紋章の間・ワッペンサール (Wappensaal) があり、壁にはケルンテルン州の古代の貴族の紋章など665個がフレスコ画で描かれています。ホームページをみると紋章の間や他の部屋、博物館の料金などが書かれています。
公式ホームページ:Landhaus
④ 聖エギド教会 (Pfarrkirche St.Egid)
アルタ―広場からも、塔の上部が見えている聖エギド教会は、地震や火災などの影響で再建され1697年に奉献されています。塔の高さは約90mで、1709年に塔が完成しています。
聖エギド(聖アエギディウス)教会は16世紀後半はプロテスタント教会である時期もありましたが、1600年からはカトリック教会となっています。
プロテスタントとカトリックは同じキリスト教ですが、宗派が違います。



祭壇上のフレスコ画は、バロック時代にクラーゲンフルトで重要な役割を果たした画家ヨーゼフ・フェルディナンド・フロミレール (Josef Ferdinand Fromiller) の最後の作品と言われています。ラントハウスの紋章の間・ワッペンサールにある天井のフレスコ画もフロミレールが手掛けています。
祭壇の横にはエルンスト・フックス (Ernst Fuchs) の最後の晩餐が飾られています。
前回のベルンバッハ教会近くの公園のモーゼスの噴水の制作者です。

聖エギド教会には、エルンスト・フックスが1989年から20年かけて完成させたフックス礼拝堂があります。礼拝堂の壁と天井にヨハネの黙示録が描かれているそうです。
有料のドイツ語のガイド付きツアーに参加すると、フックス礼拝堂と塔に上ってパノラマを見ることができます。このガイド付きツアーは夏期のみ (2025年は4月25日~10月25日まで)で週に3回、午前11時半からで要予約です。
聖エギド教会ホームページ: Pfarrkirche St. Egid
⑤ クラーゲンフルトのドゥオーモ (Klagenfurter Dom)
クラーゲンフルト大聖堂 (ドゥオーモ) はノイアー広場から歩いて5分のところにあります。
大聖堂の横の通りにある北入口から入りました。1973年まではこちらの北入口が正面でした。

クラーゲンフルトでは16世紀、プロテスタントが支持されていて、大聖堂もプロテスタント教会として1581年に建てられました。1600年以降人々はカトリックに戻ることにしたそうです。1604年には聖ペテロと聖パオロに捧げるイエズス会のカトリック教会になりました。その後1787年に大聖堂に昇格しています。

大聖堂は再建や修復を何度か行っていて、内装も1600年代に描かれたものから、1928年に描かれたフレスコ画もあります。
クラーゲンフルトは小さな町なので約1時間半で散策することができました。
ランドハウスを見学したり、カフェに立ち寄ったりしても半日あれば十分に楽しめると思います。
ミニチュアの世界 ミニムンドゥス (Minimundus)
ミニムンドゥスは世界にある建造物を実寸より小さく作ったミニチュアのテーマパークです。
ミニムンドゥスのリーフレットには世界50か国以上、166の建造物や船や橋などが記載されています。オーストリアのテーマパークなので1/3はオーストリアの建造物などのミニチュアです。

世界の建造物はブルガリアのリラ修道院、ロシアの聖ワシリイ大聖堂、エジプトのアブ・シンベル神殿などです。世界遺産登録されていたり、有名な寺院、大聖堂や、シドニーにあるオペラハウスやアメリカのタイタニック号などもあります。
どうやってこれらの建造物を選んだのかなと思います。



オーストリアからは、ウィーンにあるシュテファン大聖堂、グラーツやベルンバッハ教会などのミニチュアがあります。
ここでベルンバッハ教会を見て、いつか行ってみたいなと思うようになりました。



日本からは大阪城と平等院です。大阪城の写真はキレイに撮れてなかったので平等院の写真のみです。

ミニムンドゥスには、ミニチュアの他に4Dシアターや展示スペースがあります。
お昼は園内のレストランに行きました。オーストリア名物のシュニッチェル(薄肉のカツ)やハンバーガーなどもありましたが、ピザとポテトを食べました。



行った日が暑く日陰が少なかったので体力消耗しました。
子供向けのテーマパークだと思いますが、大人だけのグループも多かったです。
ミニムンドゥスホームページ:Minimundus
クラーゲンフルトは1日あれば歴史地区とミニムンドゥスはゆっくり見れます。
今回は、午前中にミニムンドゥスに行ってから、クラーゲンフルトの歴史地区に行きました。
夏など日が長い時期は、その後にヴェルター湖畔に行ってもいいと思います。
オーストリアが続きますが次回はグラーツです。