マルク・シャガール展が、エミリア=ロマーニャ州のフェッラーラにあるディアマンティ宮殿で2025年10月11日~2026年2月8日まで開催されています。
同じエミリア=ロマーニャ州のラヴェンナにある美術館・MARでも、シャガール・イン・ モザイクが2025年10月18日~2026年1月18日まで開催されていました。

マルク・シャガール (Marc Chagall、1887-1985)
マルク・シャガールはロシア(ベラルーシ)出身の画家です。(詳しくはWikipediaで)
日本国内でもシャガールの作品を収蔵している美術館もあり、シャガール展も各地で開催されています。
2024年11月には兵庫県西宮の六甲山山麓にあるアガぺ大鶴美術館に、アガぺ・シャガール美術館が併設されたそうです。
今回はシャガール展が開催されている美術館へ行くと聞いたので、二つ返事で付いていきました。
ディアマンティ宮殿 (Palazzo dei Diamanti)
フェッラーラにあるディアマンティ宮殿は、15世紀にビア—ジョ・ロッセッティ (Biagio Rossetti) によって設計され1503年に完成しました。1598年頃まではエステ家の一族が住居として使用していました。1842年以降はフェッラーラ市が宮殿を購入し、美術館や展覧会を開催しています。

シャガール展 フェッラーラ
チケットを購入していなかったので、営業開始時間の10分前に行き、当日券購入の列に並びました。2組のカップルだけ並んでいたので、すぐに中へ入ることができました。
今回のシャガール展は、絵画、版画など200点以上の作品が展示されています。
シャガールについては、色々なサイトで詳しく説明されていますが、ユダヤ人である彼の生きた時代背景を思い浮かべながら作品をみるのも良いと思います。

エクソダス (exodus o la nave dell esodo)は、旧約聖書の出エジプト記のエジプト脱出を表現し、また1947年にユダヤ人を乗せた船がエジプトから逃亡したエピソードも取り入れています。


イソップ寓話 (ラ・フォンテーヌ寓話)の動物が出てくるのシーンの版画が展示室の壁に並んでいます。
きつねとブドウ、塩を運んでいるロバ、王さまをほしがっている蛙など、1926年から1952年に描かれた作品です。
この2つの作品は、ラ・フォンテーヌ寓話の守銭奴とその黄金 (財宝)の同じシーンですが、技法、色彩が違うと、別のものに見えます。
(ラ・フォンテーヌ寓話はイソップ寓話を基にした寓話です。)

パリをテーマにした日曜日 (Domenica) は左側がスケッチです。
フランスのの美術系の雑誌 Derrière le miroir (デリエール・レ・ミロワール) に掲載された作品です。

日曜日は、シャガールが亡命先のアメリカからフランスに戻ってきた後の1954年の作品で、戦争が終わり、色彩も明るくなってきています。描かれているシャガールの頭の上には、故郷のヴィテプスク (現ベラルーシ)の町が描かれています。
サーカスやダブルフェースなど数々の作品が展示されています。


ここではシャガールが1960年に制作した、エルサレムのハダッサ病院のシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝堂)にあるステンドグラスを再現しています。
ステンドグラスは12枚あり、旧約聖書のイスラエル12部族を表現しています。

今回のフェッラーラのシャガール展は、シャガールをより良く知るきっかけになりました。
ユダヤ人であること、戦争、亡命など様々な経験をもとに愛をテーマにした作品が多く、色鮮やかな絵画に魅了されました。

ミュージアムショップで、シャガールが動物の絵の挿絵を描いたフォンテーヌ寓話を購入しました。(アマゾンイタリアでも購入できます。)
イソップ寓話をいくつか知っているだけだったので、いい機会なので読んでみようと思います。
朝は霧でモヤっとしてましたが、ディアマンティ宮殿を出るころにはスッキリしていました。
中央の門を中心に、右側がチケットを購入済みで予約時間を待っている人の列で、左側の列が当日チケットを買う列です。
ディアマンティ宮殿ホームページ: Palazzo dei Diamanti
ラヴェンナ市美術館 MAR (Museo d’Arte della città di Ravenna)
ラヴェンナ市美術館は、16世紀にポルトの聖マリア聖堂 ( Basilica di Santa Maria in Porto) の隣に建築された修道院の中にあります。
ラヴェンナはモザイクで知られている町で、モザイクの研究センター(CIDM)も設立され美術館には現在モザイクの作品が多く展示されています。
(ラヴェンナは「ラヴェンナの初期キリスト教建築群」でユネスコ世界遺産に登録されています。5世紀~6世紀に建築された大聖堂や礼拝堂は、モザイクで色鮮やかに装飾されています。)


絵画と、その作品をモザイク画にした作品が並んで展示されています。
この作品のタイトルは「オレンジ畑の上を飛ぶハト」です。モザイク画は、様々な色や形をした小片 (テッセラ) を使用して制作されています。近くで見ても、少し離れて見ても素晴らしいです。

大聖堂や礼拝堂でみる宗教的なモザイク画とは違って、現代モザイクの作品をたくさん見ることができます。箱に施されたモザイク、モザイクのピアディーナと、アラレちゃんまでモザイク画になってました。



モザイク画以外にも、常設で作品が展示されていました。
グスタフ・クリムトのスケッチもありました。


ラヴェンナ市美術館ホームページ:Museo d’Arte dalla città di Ravenna
シャガール in Mosaico ラヴェンナ
ラヴェンナ市美術館では企画展を開催していることがあります。
2025年10月18日から2026年1月18日まではシャガール・イン・モザイクを開催していました。
シャガールの有名な作品などは今までも目にしたことがあったのですが、モザイク画があるのは知りませんでした。。。
世界でシャガールのモザイク画を鑑賞できる場所は少なく、イタリアではラヴェンナ市美術館のみです。
この世界地図に日本がないのが気になりますが。。。

このスケッチはシャガールがモザイク画「Le Coq bleu」(ルー・コック・ブルー) の制作 のために描いたスケッチです。

このスケッチをもとに、1957年から1958年にかけてラヴェンナのモザイクアーティストのアントニオ・ロッキ (Antonio Rocchi) とロモロ・パパ (Romolo Papa) がモザイク画を制作しました。アントニオ・ロッキの作品(左側、一枚目)は、伝統的、均一的でシャガールのために制作されました。ロモロ・パパの作品 (右側) は、絵を解釈した上で、アーティスト的、絵画的に制作されたそうです。雄鶏の頭の中には人間の横顔が見えます。
素人目線ですが、アントニオ・ロッキの作品の方が、忠実に複製してるように見えて、ロモロ・パパの作品は色の濃淡や、色彩が鮮やかに見えます。


モザイク画はどうなってるのだろうと気になるところですが、モルタル (セメントを使った接着剤)の上にテッセラが並べられているのがわかります。

今回のシャガール in mosaico のメインになる作品が1965年から1967年に制作された「Le Grando Soleil ( 大きな太陽、偉大な太陽)」です。シャガールがラヴェンナのモザイクアーティストのリーノ・メラーノ (Lino Melano) と共同制作しました。数十年ぶりの一般公開で、イタリアでは初公開だそうです。
「La grande Soleil」 は、当時の妻であったヴァレンティ―ナ (Valentina) への贈り物で、南フランスのニース近郊にあるサン・ポール・ド・ヴァンス (Saint-Paul-de-Vence) という町の ”La Colline”と呼ばれている住宅とアトリエの間にあるテラスの壁にモザイクが制作されました。
修復作業が終わり、ラヴェンナで展示されることになりました。


「Le Grando Soleil」は、花のような大きな太陽を中心に、シャガールが描いてきた動物たち、生命の木、中央で演奏する音楽家などが描かれています。町はサン・ポールで、シャガールの想いが詰まった作品だと思いました。
二つのシャガール展へ行ってみて、シャガールの絵やモザイクに魅了されました。
今までモザイクはローマ時代からある大聖堂などの床にあるモザイクなどを見てきましたが、はじめて現代モザイクを目にして、素晴らしいなと思いました。
ラヴェンナのシャガール展は終了しましたが(2026年1月30日まで「Le Grando Soleil」の撤収作業のため休館)、フェッラーラのシャガール展は2026年2月8日までです。
