ジェノヴァの滞在3日目は、宮殿や博物館巡りです。
ジェノヴァのマップ
⑪ 王宮 (Palazzo Reale)
⑫ ジャコモ・ドリア自然史博物館 (Museo Civico di Storia Naturale Giacomo Doria)
(ケーブルカー (Funicolare) でリギ (Righi) の展望台からジェノヴァを一望 )
⑬ 赤の宮殿 (Palazzo Rosso)
赤の宮殿を出る時は雨が降ってきましたが、予定通り観光できました。
⑪王宮 (Palazzo Reale)
1643年~1650年にバルビ (Barbi) 家によって建築された宮殿が、1679年にドゥラッツォ家 (Durazzo)に売却されました。ドゥラッツォ家は18世紀前半までに建物の改装、増築、装飾などを行いました。1824年にはサヴォイア王家 (Savoia) が所有者になったことで王宮となりました。

その後、首都がローマに移るとサヴォイア王家が使用することもなくなり、20世紀初めに国有化されました。
王宮は世界遺産のパラッツィ・ディ・ロッリ(宮殿のリスト)に登録されています。
建物の中に入る前に、海に向かって広がっている庭園を見に行きました。
白と黒の小石のモザイクは2018年に修復されています。


王宮の中に入ると、すぐにダンスホールがあります。
装飾の彫刻をみても、ダンスホールだとわかります。オーケストラの生演奏で華麗な舞踏会が行われていました。
ドゥラッツォ時代には、スペイン王のフェリペ4世やナポレオンなども宮殿に滞在したようです。

今回は鏡の回廊 (La Galleria Degli Specchi) を見るのが目的で王宮にきたのですが修復中でした。
2022年5月から修復中です。
〔追記〕鏡の回廊は2023年11月から一般公開を再開しています。

玉座の間です。王政のシンボルともいえる、王冠、王笏が展示してあります。
写真では切れてしまいましたが、両側にある大きな絵画はルカ・ジョルダーノ (Luca Giordano) の作品です。
この玉座の間は、豪華で厳粛な雰囲気がある空間でした。



左上の写真が王の寝室で、右上の写真が女王の寝室です。
初代イタリア王国の王になったヴィットーリオ・エマヌエーレ (Vittorio Emanuele)も使用していたそうです。見学順路では二つの部屋は離れた場所にあります。王の寝室は現在は壁になっていますが、この部屋が使用されていた当時は王と女王の寝室を行き来できる通路があったそうです。
ダマスク織のタペストリーが美しい公聴会を行うホール (Sala delle Udienze) です。政府関係者、各国の大使、公式訪問した人達との公聴会に利用していました。
他にも、装飾が素晴らしい部屋がいくつもありました。

王宮 公式ホームページ: Palazzo Reale
私はジェノバ・シティ・パスを使って見学をしましたが、王宮のチケットを購入の場合は、王宮とスピノラ宮殿 (Palazzo Spinola di Pellicceria) の共通チケットがあります。両公式ページで料金や開館時間を確認できます。スピノラ宮殿もパラッツィ・デイ・ロッリ(宮殿のリスト)に登録されています。
スピノラ宮殿 公式ホームページ : Palazzo Spinola di Pellicceria

王宮の後は、自然史博物館に行くので、王宮前のバルビ通り (Via Barbi) からヌルツィアータ広場 (Piazza della Nunziata) まで歩き、20番のバスに乗って移動しました。
写真を見ながらヌルツィアータ広場に大きな教会があることに気がつきました。
この教会はサンティッシマ・アヌンツィアータ教会 (Basilica Santissima Annunziata del Vastato) で、ホームページの写真を見ると、黄金で装飾した素晴らしい教会です。ジェノヴァにもう一度行くことがあれば行ってみたいです。
サンティッシマ・アヌンツィアータ教会 ホームページ:Basilica Santissima Annunziata del Vastato
⑫ジャコモ・ドリア自然史博物館
(Museo Civico di Storia Naturale Giacomo Doria)
この自然博物館は、1867年にオープンしたジェノヴァ市で一番古い博物館です。



鉱石や、動物などの標本が展示してあります。鳥類、爬虫類、昆虫、哺乳類、魚類など、様々なはく製が展示されています。
出口の近くにある大きなフロアには、象の骨格が展示されています。
常設展だけ見学したので、滞在時間は1時間もかかりませんでした。

ジャコモ・ドリア自然史博物館 ホームページ:Storia Naturale Giacomo Doria
自然史博物館に近いヴィットーリア広場 (Piazza della Vittoria) にあるヴィクトリアのアーチ (Arco della Vittoria) です。
このアーチは第一次世界大戦の戦没を記念して1931年に建設されました。世界大戦中に亡くなったジェノヴァ人に捧げています。

Google mapでバス停とバスの番号を調べて、ヴィット―リア広場前から次の目的地のケーブルカー乗り場のゼッカ (Zecca) まで行きました。
ケーブルカー (Funicolare)
ジェノヴァの山の斜面を登っていくケーブルカー (Funicolare) です。
海外のガイドブックには、展望デッキからの眺めが素晴らしいと書いてあるので行ってみました。


旧市街のゼッカ (Zecca) から山手のリギ (Righi) まで約12分で結んでいます。
乗客は山手に住んでいる学生と観光客でした。
終点駅の展望台からの景色は、前方に大きな木が数本そびえ立っているので残念でした。
他の観光客同様、私達も折り返し運転するケーブルカーに乗って旧市街に戻って行ってました。

⑬赤の宮殿 (Palazzo Rosso)
ケーブルカーのゼッカ駅の前の横断歩道を渡って、カイローリ通り (Via Cairoli) を歩いて行くと、世界遺産にも登録されているガリバルディ通 (Via Garivaldi) に入っていきます。まずは、赤の宮殿の向かいにあるチケットオフィスに行きます。

チケットオフィスでは、ガリバルディ通りにある3つの宮殿で世界遺産に登録されている、赤の宮殿 (Palazzo Rosso) 、白の宮殿 (Palazzo Bianco)とドリア・トゥルシ宮殿 (Palazzo Doria-Tursi)のチケットを購入、またはジェノヴァシティパスなどのカードを提示すると、チケットを受け取ることができます。今回は3つの宮殿の中で赤の宮殿に行く事にしました。
赤の宮殿は2019年12月から大規模な改修のため、閉館していましたが、2022年6月よりリニューアルオープンしました。
赤の宮殿は1671年から1677年の間に建てられた宮殿です。赤の宮殿と言われるように、赤の石材が使われています。この宮殿はブリニョーレ・サーレ (Brignole Sale)家が所有していましたが、1874年にジェノヴァ市に宮殿を寄贈したので、それ以降はジェノヴァ市の所有となっています。
いくつかの部屋をみてから、この八角形の階段前にきました。美術監視員の方が、この階段を是非見て行ってと言われました。


この八角形の階段はフランコ・アルビー二 (Franco Albini) が、1952年から1961年の修復時に設置されました。上階から光が差し込んでいます。
以前は非公開だった中2階の部分が2022年6月より公開されました。
この部分は、自宅のプライベートスペースとして使われていました。
天井が低いのが印象的です。

天井や側面部のフレスコ画や、寝室の装飾など圧巻です。
少し圧迫感のある空間でみる豪華な自宅スペースは、今まで見てきた宮殿のなかでも、かなり印象に残る一つとなりました。


当時赤の宮殿を所有していたジオ・フランチェスコ (Gio Francesco) は、主に17世紀終盤に活躍していたジェノヴァ出身の画家たちにフレスコ画や装飾や依頼しました。
寝室も豪華に装飾されています。

さらに進んでいくと、天井にフレスコ画がない大広間があります。


この大広間の天井には、グレゴリオ・デ・フェッラーリ (Gregorio De Ferrari) のフェートン神話(パエトーン神話)のフレスコ画が天井に描かれていました。
残念ながら、1942年の第二次世界大戦中の爆撃でフレスコ画も破壊されてしまいました。現在は、このフレスコ画製作時のスケッチのみ残されています。
赤の宮殿には四季それぞれをイメージしたホールがあります。冬の大広間と春のフレスコ画です。


上階にいくと、モダンな雰囲気の部屋があります。
1955年に博物館から分離された住居スペースが作られました。市民博物館の館長カテリーナ (Caterina Marcenaro)の住居と、彼女が個人的に所有している美術品を保存するために、八角の階段をデザインしたフランチェスコが暖炉や家具などをデザインしました。

現在の宮殿は、17世紀の素晴らしいフレスコ画がや装飾物がある階と、最上階部に住居スペースの融合が不思議な感じがします。
屋上は開放されていないので、最上階からの景色を写真に撮りました。

今回は赤の宮殿しか行けませんでしたが、白の宮殿とドリア・トゥルシ宮殿も魅力のある宮殿なので、機会があれば訪れたいと思います。
赤の宮殿 ホームページ:Palazzo Rosso
ユネスコ世界遺産
レ・ストラーデ・ヌオーヴェとパラッツィ・デイ・ロッリ制度
(Le Strade Nuove e il sistema dei Palazzi dei Rolli)
レ・ストラーデ・ヌオーヴェとパラッツィ・デイ・ロッリ制度は2006年に世界文化遺産に登録されました。16世紀後半から17世紀かけて、宮殿の所有者は著名なゲストの公式訪問を主催し、公式宿泊施設として宮殿を提供していました。訪問客の階級に応じて宮殿が選ばれていたそうです。
一流の宮殿のリスト(ロッリ)が作成、更新されたものは、現在もジェノバ市公文書館 (Archivio di stato di Genova) で保管されています。このリストから宮殿を選び、ゲストをもてなす制度がパラッツィ・デイ・ロッリ制度です。
宮殿リストにあるなかで、42の宮殿や建物が世界遺産に登録され、レ・ストラーデ・ヌオーヴェ(新しい道の複数形)に立ち並んでいます。その多くが、ラ・ストラーダ・ヌオーヴォ(新しい道)と呼ばれていたガリバルディ通り(Via Garivaldi) や、王宮のあるバルディ通り (Via Baldi) やその周辺に建ち並んでいます。
登録されている宮殿は、現在では銀行やオフィスなどとして使用されている建物と、王宮やガリバルディ通りにある赤の宮殿、白の宮殿などのように博物館として一般公開されている宮殿があります。
夜のガリバルディ通りのドリア・トゥルシ宮殿 (Palazzo Doria- Trusi) の前です。右側の赤色の建物は赤の宮殿です。
ジェノヴァは宮殿が建ち並ぶ地域と、旧港付近では町の雰囲気が全く違うところも、ジェノヴァの魅力のひとつかなと思います。

ジェノヴァは3日間滞在でしたが、ボッカダッセの港町、旧市街、ジェノヴァ水族館、最終日は世界遺産に登録されている宮殿を見ることができたので大満足です。