プレディルはタルヴィージオ (Tarvisio) とセッラ・ネヴェア (Sella Nevea) を結んでいる国道54号線 (SS54) の中間点にあります。アルプスの山に挟まれた渓谷に湖と小さな町があります。
プレディル湖 (Lago del Predil)

プレディル湖はプレディル鉱山 (Cave del Predil) の近くにあります。
ドイツ語でプレディル鉱山のことをライブルと言うそうで、ライブル湖 (Lago di Raibl) とも呼ばれています。
湖周は4キロぐらいの小さな湖です。
ビーチがあり、ビーチベッド、カヌー、ペダルボート、ウィンドサーフインなどの貸し出しをしています。
標高が950m以上の場所にある湖なので、湖水は冷たいです。
湖の中に入っている人はほとんどいなくて、数人がサップ (SUP) をしていました。サップはボードの上に立って、パドルを漕ぎながら水上を進んで行くマリンアクティビティです。
マリンスポーツはしないので、レンタル料金が安いのか高いのかわかりません。。。



プレディル湖畔にある Bar(⑬近く)で地図をもらいました。
湖の周囲を歩くハイキングコースは約5.4kmで、2時間ぐらいで歩けるそうです。
今回は地図の ➀、⑬と⑫辺りを散策しました。
⑫近くの湖畔を歩いていると、小さな島があります。島と言っても、10m×10mより小さいかもしれません。湖畔から飛び石を渡って行けますが、ジャンプが大好きな子供は楽しそうでした。
落ちないかハラハラしてしまったので、写真撮るの忘れましたー。

プレディル鉱山 (Cave di Predil)
プレディル湖からタルヴィージオ方面に2kmほど行くと、プレディル鉱山があります。
行ったのは別の時期で季節も変わっています(笑)
まずは、鉱山博物館 (Museo della Tradizione Mineraria) に行きます。この博物館で坑道見学ツアーと、博物館の入館料を支払います。
ツアーの集合時間まで、鉱山博物館を見学しました。

この鉱山はローマ時代より前の紀元前より採掘していた記録があるそうですが、1400年頃から本格的に鉛、亜鉛の採掘がはじまりました。1991年まで採掘がされていましたが、鉱石が安価で輸入できるようになり、経済的に採算が合わなくなり閉山となったそうです。
プレディル鉱山は地理的にイタリアとスロベニアの国境にあるので、歴史をたどると王朝や国などに運営が渡ったり、第2次世界大戦後は、イタリアとユーゴスラビアの国境問題で、政治的な紛争が起きたりと、時代ごとに大きな変化がありました。



鉱山博物館では、発掘された鉱石や、当時使用されていた工具や機械などが展示してあります。
鉱石などを売買していたオフィスは、昔の秤やタイプライターなどを展示して当時の様子を再現しています。
Parco internazionale Geominerario
鉱山博物館を出て橋を渡ると、鉱山に入る入口があります。
坑道見学ツアーの集合時間になれば、ガイドの方が来て、ヘルメットを受け取り、全員着用します。

ガイドの方を先頭に、狭いトンネルを歩いていきます。私が行った時は10人ぐらいのグループで、説明はイタリア語でした。
トンネル内の温度は一年中6度なので、時期によっては上着を持参します。


少し歩いてから、トンネル内を走るトロッコに乗ります。このトンネルはブレットトンネル (La galleria di Bretto) と呼ばれていて、1899年~1905年に地下に溜まる水を排水するために建設されました。
ブレットトンネルは、幅2.5m、高さ2m、長さは4844mで、イタリアにあるプレディル鉱山より国境を越えてスロベニアのブレットまで続いているそうです。ブレットはスロベニア語ではログ・ポッド・マンガルトン (Log pod Mangartom) と言い、聞き間違えそうになりますが、スロベニアで有名なブレッド湖があるブレッド (Bred) とは違う場所です。
第一次世界大戦では、ブレットトンネルはオーストリア軍の支配下にあり、戦闘員、食料、爆薬などを国境を越えて運んだそうです。
第二次世界大戦後からスロベニアがシェンゲン協定が適用されるまでは、トンネル内に国境検問所もあったそうです。



当時使用されていた坑道内のエレベーターや、鉱石が運ばれていたトロッコなどが展示されていて、当時の様子を思い浮かべることができました。
スロベニア側にあるブレットトンネルの入口は閉鎖されているので、イタリア側からのみ見学することができます。
トンネルは地下約240mに掘られていたので、村やプレディル湖の下に地下トンネルが通っていました。
1910年1月に壁の一部が崩壊し、湖からの水が流れ込み、この水圧で村にあった病院が150m下に沈下する事故がありました。
この悲惨な事故の慰霊碑が建てられています。

坑道見学ツアーの後は、鉱山の町を歩きました。
繁栄期は2000人を超える人々が住んでいましたが、閉鎖された現在はひっそりしています。
橋を渡り、鉱山博物館を通り過ぎて少し進むと、18世紀に建設された、サンタンナ教会 (Chiesa di Sant’Anna)があります。前方から見ると、とても小さい教会に見えますが、中に入ると奥行きがあり、窓からの日差しが入って明るい雰囲気でした。


教会の後ろにある建物が アルプス軍事博物館 (Museo storico militare delle Alpi) です。ナポレオン侵攻や、第一次世界大戦、第2次世界大戦など、この地域で起こった歴史や軍事に関わるものが展示されているそうです。
プレディル鉱山の坑道見学は予約制になっています。予約は電話かメールでできます。メールで予約できるページはココからです。
公式ホームページ:Musei Tarvisio