ヴェローナ (Verona) Part1

ヴェローナといえば「ロミオとジュリエット」の舞台となった地であることや、円形闘技場のアレーナが思い浮かびます。

ヴェローナ

ヴェローナはヴェネト州にあり、州都のヴェネチアからは西へ約100㎞のところにあります。ヴェローナを越えて西へいくと、ガルーダ湖があります。ヴェローナから北へ100㎞行くと、トレンティーノ・アルト・アディジェ州の州都、トレントがあります。

ヴェローナを流れるアディジェ川は、イタリアとオーストリアの国境にあるアルプス山脈からボルツァーノ、トレントを通り、ヴェローナを経てアドリア海に流れています。

ヴェローナ市街は2000年にユネスコ世界文化遺産に登録されて、市街には円形闘牛場のアレーナなどのローマ時代の遺跡、中世の建造物などがあります。

ヴェローナ市街は大きな街ではないので、メジャーな観光名所を一日でサクッと歩いて観光することができます。
アレーナから出発して、ヴェローナ市街の北側、アディジェ川がカーブしているところに架かっているピエトラ橋まで歩きます。

今回のルートはこちらです。

➀アレーナ
②ジュリエットの家
③エルベ広場
④シニョーリ広場
⑤聖アナスタージア教会 
(Basilica di Santa Anastasia)
⑥ドゥオーモ
⑦ピエトラ橋
⑧カステル・サン・ピエトロ広場
⑨ローマ劇場 (考古学博物館)

➀ 円形闘技場 アレーナ (Arena di Verona)

ヴェローナのシンボル的な存在である歴史的建造物のアレーナです。
アレーナは1世紀中頃、ローマのコロッセオよりも前に建築されました。長径は152.43mありコロッセオ(長径187m)より少し小さいです。16世紀に修復され、きれいな形で保存されています。

古代ローマ時代には、アレーナは闘技場として使用されていましたが、18世紀頃から芸術の場として使用されるようになりました。
現在もアレーナではオペラやコンサートなどが開催されています。1913年から開催されているオペラのアイーダは有名です。

アレーナの上部からは、ブラ広場 (Piazza Bra) を見渡せます。ヴェローナで一番大きな広場でバールやレストランが建ち並んでいます。
アレーナの反対側には、展示会場などに使用されているグラン・グアルディア宮があります。

アレーナの横にあるルイ・ヴィトンの前から始まる歩行者専用道のマッツィー二通り (Via Giuseppe Mazzini) には、色々なお店があります。この道を500mほど歩き、つきあたりを左に曲がればエルベ広場、右に曲がればジュリエットの家に行くことができます。

アレーナ 公式ホームページ: Arena di Verona

《追記》 2026年開催のミラノ・コルティナダンペッツォ冬季オリンピックの閉会式は、ヴェローナのアレーナで開催される予定です。楽しみです。

② ジュリエットの家 (Casa di Giulietta)

ロミオとジュリエットは、イタリア人作家のルイジ・ダ・ポルト (Luigi da Porto) が書いた小説です。その後、ウィリアム・シェークスピアによって舞台用に戯曲され世界的に有名になりました。中世の建造物、ジュリエットの家はヴェローナ市に買い取られ、1939年から1940年の間に物語の背景を考慮して修復され、バルコニーも設置されました。

恋の願い事をしながらジュリエット像の右胸をさわると、願いが叶うと言われています。

建物内部も中世時代の面影が残るもので、時間があれば見学してみてもいいと思います。

ジュリエットの家 ホームページ: Casa di Giulietta

③ エルベ広場 (Piazza delle Erbe)

エルベ広場はローマ時代にはフォルム(公共広場)がありました。フォルムには国会議事堂、教会、浴場などがあり、ヴェローナの中心地でした。
広場の中心には1368年に制作された、”マドンナ・ヴェローナ” の噴水があります。このマドンナは中世の貴婦人、王冠をかぶった女王のような女性像で、ヴェローナの華麗さや、豊かさを表現しています。
エルべ広間を囲む建物には、フレスコ画が残っている建物も多くあります。

④ シニョーリ広場 (Piazza dei Signori)

シニョーリ広場は、エルベ広場の近くにあり、ダンテ広場とも呼ばれています。広場には大理石で造られたダンテ像があります。シニョーリ広場は、パラッツォ・デッラ・レジョーネ (Palazzo della Regione) 、ロッジャ・デル・コンシーリョ (Loggia del Consigno) 、ポデスタ宮 (Palazzo del Podesta) など、歴史的建造物に囲まれています。

シニョーリ広場とエルベ広場 の間には、パラッツォ・デッラ・レジョーネがあり、行政、司法の拠点であったり、教育機関、刑務所など長い歴史の間に色んな用途で使用されてきました。現在では、美術ギャラリー、レストラン、公共施設などとして利用されています。

パラッツォ・デッラ・レジョーネでひときわ目を引くのが、ランベルティの塔 (Torre dei Lamberti) です。1172年に建築が始まったランベルティの塔は、当時は高さが37mでした。1400年代に修復、増築されて高さが現在と同じ84mになりました。
ランバルティの塔は368段の階段で登ることができ、ヴェローナの街並みを見渡すことができます。
時間のある方は、是非登ってほしいと思います。

ランベルティの塔 ホームページ: Torre dei Lamberti

⑤ 聖アナスタ―ジア教会 (La basilica di santa Anastasia)

聖アナスタージア教会は、13世紀後半から14世紀に建設されたゴシック様式の教会で、ヴェローナでは一番大きな教会です。
写真左にある建物は同時期に建設された聖ピエトロ・マルティーレ教会 (Chiesa di San Pietro Martire) です。

この二つの教会の間にあるアーチの上にあるのは、当時、ヴェローナ周辺の領主であり、聖アナスタージア教会の建設に力を注いだといわれているグリエルモ・ダ・カステルバルコ (Guglielmo da Castelbarco) の石棺があります。

教会内部は人が少なく、とても静かで厳かな雰囲気でした。
聖アナスタージア教会には、色々な作品が展示されています。
その中で一番印象に残ったのが、両手を膝に置いて何か訴えたそうな顔をしている男性が支えている聖水の入った器 (聖水盤) です。
ガブリエレ・カリアリ (Gabriele Caliari) の15世紀の作品です。
曲がった背中のコブのような部分を触ると、幸運が訪れると言われています。

聖アナスタージア教会ホームページ: La Basilica di Santa Anastasia

⑥ ヴェローナのドゥオーモ
(Cattedrale di Verona Santa Maria Assunta)

ローマ時代に公衆浴場があった場所に最初の大聖堂が現在の聖エレナ教会 (Chiesa di S.Elena) がある辺り(ドゥオーモの隣)に建てられたそうです。
その後、現在の場所に大きな大聖堂が建設されましたが、1117年の大地震によって崩壊し、1120年頃から大聖堂、洗礼堂などが再建されました。

聖エレナ教会はドゥオーモの複合施設となり隣接しています。

今回もドゥオーモに来たときは、拝観時間外だったので中に入れませんでした。いつも来るときは拝観時間外でまだ入ったことがありません。

ヴェローナのドゥオーモ ホームページ: Cattedrale di Verona Santa Maria Assunta

⑦ ピエトラ橋 (Ponte Pietra)
⑧ カステル・サン・ピエトロ (Castel San Pietro)

ドゥオーモから5分程歩くと、アディジェ川に架かるピエトラ橋に行けます。

ピエトラ橋は紀元前148年に木製の橋が建設されました。その後石の橋に再建されてからも、修復や再建されましたが、第二次世界大戦時に大きなダメージを受けました。
過去の再建時の建築方法や、当時の写真や文書に基づいて1959年に完成したものが、現在のピエトラ橋です。

ピエトラ橋から見える景色です。ヴェローナのローマ劇場があるのですが、建物で見えません。ローマ劇場の上にあるのが、軍事施設として使用されていた、カステル・サン・ピエトロです。
この建物の前にある広場からヴェローナ旧市街が一望できます。

ピエトラ橋を渡り、横断歩道を渡ると石造りの階段があるので、そこから登っていきます。

階段を登っていくので、結構しんどいですが、登り切った後にあるこの景色、是非見てほしいです。
ヴェローナというと、アレーナ、ジュリエットの家など観光名所がありますが、中世の旧市街が見渡せるこの場所が一番のお気に入りです。

⑨ ヴェローナ ローマ劇場 (Teatro romano di Verona)

カステル・サン・ピエトロからヴェローナを一望した後、階段を下り川沿いの道路を歩いて行くと、ローマ劇場があります。

ローマ劇場は考古学博物館の一部になっています。考古学博物館は2016年にリニューアルオープンしています。この写真は10年以上前にヴェローナカードで観光した時のものです。
ローマ劇場はローマ時代に建設されましたが、遺跡はほとんど残っていないそうです。

中世には廃墟になり、この場所には家などが建てられたそうです。
1834年からアンドレア・モンガ (Andrea Monga) が指揮をとり、1844年まで発掘調査され、劇場の構造を発見ました。その後も発掘作業が続けられ、階段などが再建され現在のローマ劇場になっています。

考古学博物館ホームページ:museo archeologico al teatro romano

公共交通機関とヴェローナカード (Verona card)

電車でヴェローナに行く場合は、Verona Porta Nuova 駅で下車します。そこから歩いて30分程で、アレーナまで行けます。
1人でヴェローナを訪れた時は、Verona Porta Nuova 駅から歩いてアレーナがあるブラ広場 (Piazza Bra) にあるインフォメーションまで行き、ヴェローナカードを購入しました。


ヴェローナカードは公共バス (ATV) も利用できるので便利です。Google map で出発地を Verona Porta Nuova 駅、到着地にアレーナを入力して公共交通機関利用にすると、アレーナ行きのバス路線や時刻、所要時間が表示されるので、観光にはスマフォが離せません。。。
歩いて行く場合にも、地図で確認しながら行くと便利です。

ヴェローナはドゥオーモや教会、歴史的建造物を見学するのに拝観料や見学料を払う施設が多いです。
ヴェローナカード(24時間有効20ユーロ、48時間有効25ユーロ)を購入すると、アレーナ、ジュリエットの家、ランベルティの塔、ドゥオーモ、ローマ劇場など有効時間内であれば、カードを提示すれば見学できます。またヴェローナ市内を走るバスにも乗れます。

アレーナ(10ユーロ)、ジュリエットの家(6ユーロ)、ランベルティの塔(6ユーロ)、ドゥオーモ(4ユーロ)するので、アレーナを見学して、他の施設もいくつか見学する場合はヴェローナカードがお得です。

また、ヴェローナにあるドゥオーモと3つの大聖堂を見学する共通券 (8ユーロ) もあります。
ヴェローナ訪問で、ドゥオーモと大聖堂の見学を中心にまわるという方は、この共通券も良いと思います。
ヴェローナの教会のホームページ:Verona chiese storiche

こちらに記載した料金は2020年以前のものですので、現在の料金はホームページにてご確認ください。

ヴェローナカードホームページ:Verona Card

《 追記 2025年3月 》

ヴェローナカード、かなり値上がりしてます。
24時間有効が27ユーロ、48時間有効が32ユーロです。
アレーナ(12ユーロ)、ジュリエットの家 (12ユーロ)、ローマ劇場 (9ユーロ)などです。
観光シーズンなどは前にオンラインで見学時間の予約をして、効率よくまわると良いと思います。

25歳以下の学生や65才以上の方は証明書があれば割引料金になるかもしれないので確認してください。

今回のヴェローナ観光は、アレーナから出発して観光名所を通りながらローマ劇場まで行きました。
ヴェローナには行くたびに、素敵な街だなと再認識します。ローマやミラノより、歩いてまわれる小さな都市の方が私は好きです。

次回もヴェローナの続きです。

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