ウンブリア州はアペニン山脈(イタリア半島の北から南に延びる山脈)にあり、丘陵地域が多くの割合を占めている内陸にある州です。丘の上にも町があり、ナルニやオルヴィエートも丘の上にあります。
まずは、ナルニから。
ナルニ (Narni)
ナルニはテルニから約10キロ程西に行った所にあります。

駐車場に無料のエレベーターがあるので、丘の上までエレベーターで行きます。バスの場合は、ナルニ駅からバスNR1で、ナルニのガリバルディ広場まで行くと、ナルニのドゥオーモ近くで下車できます。

ナルニはあまり知られてない町ですが、ナルニアと言えば聞いたことがある人も多いと思います。
ナルニのラテン語はナルニアで、作者のC.S.ルイスが、イタリアの古い地図を見て、ナルニアの響きが気に入ったのでナルニア王国になったそうです。

ナルニは小さい町で、町の起点になるドゥオーモがある広場から反対側にある広場までは500m程です。
まず、市庁舎にあるインフォメーションに行って地図をもらいました。市庁舎の向かいに、14世紀に建築されたプリオーリ宮殿があります。2つのアーチが印象的で、横には1200年に建てられた塔があります。塔と宮殿の間にポーチがあり、以前はポーチから広告・告示などが読み上げられていました。

インフォメーションからドゥオーモの反対方面に歩いて数分にあるサン・ドメニコ教会 (Chiesa di San Domenico) に行きました。
サン・ドメニコ教会 (Chiesa di San Domenico)

サン・ドメニコ教会は、古代の礼拝堂の上に建設され、1148年にサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂として、ナルニの大聖堂になりました。1304年に大聖堂は、現在あるサン・ジョヴェナーレに移されたので、この大聖堂はドミニコ会に委託されるようになりました。14世紀から15世紀に再建され、教会内は13世紀から16世紀かけてのフレスコ画を見ることができます。




2007年の発掘調査で、古代の礼拝堂や地下室の遺跡が発見され、床のモザイクも発見されました。
地下見学は有料で、12世紀のサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂の祭壇、6世紀のモザイク、ローマ時代の水道橋や貯水槽の一部、異端審問裁判所の尋問部屋などを見ることができるそうです。
サン・ジョヴェナーレ大聖堂 (Cattedrale di San Giovenale)
ナルニのドゥオーモのサン・ジョヴェナーレ大聖堂に行った日は、拝観時間が19時までだったので、最後に来ました。アーチがある建物が大聖堂で正面です。
ナルニの初代司教のジョヴェナーレを埋葬した礼拝堂があった場所に12世紀に大聖堂が建てられました。毎年5月に行われるコルサ・アッラネッロ(Corsa all’Anello) は、聖ジョヴェナーレに捧げるレースで馬上槍試合が行われます。小さな鉄のリングを吊り下げて、馬に乗って走りながら槍の先をリングに通して取るレースなどが行われます。



17世紀から18世紀にかけて建設された福者ルチアの礼拝堂には、フランチェスコ・トレヴィザ―二 (Francesco Trevisani) の作品を見ることができます。
クーポラの角のフレスコ画には、福者ルチアの生涯や奇跡のエピソードの絵が描かれています。

サン・ジョヴェナーレとカッシオの礼拝堂 (Sacello di San Giovenale e Cassio) は、門の上には、羊が十字架に向いている大理石の浮き彫りが印象的です。礼拝堂の中には、祭壇と祭壇の上にはサン・ジョヴェナーレとサン・カッシオが描かれています。
ナルニは小さな町ですが、なかなか興味深い町でした。
オルヴィエート (Orvieto)
オルヴィエートもナルニ同様、テル二県にある丘の上につくられた町です。
ローマからは高速道路を利用して1時間半、電車だと、フィレンツェ方面行きの電車で1時間20分ぐらいでオルヴィエート駅まで行けます。
フィレンツェからは、高速道路で2時間、ローマ方面行きのインターシティの電車では1時間半ぐらいでオルヴィエート駅まで行けます。

今回は車で行きましたが、丘の上の方に行くと、一方通行や進入禁止の表示が多かったので、丘の中腹にある駐車場に止めて、隣接している無料のエスカレーターを利用して町へ行きました。
帰りにエスカレータの場所がわからなくなって、道に迷いました。。。

オルヴィエート大聖堂
(Duomo di Orvieto, La Basilica cattedrale di Santa Maria Assunt)

オルヴィエートのシンボル的な存在である大聖堂は、ゴシック建築で1290年から建築が始まり、約300年かけて1591年に完成しました。
この日は、先にチヴィタ・バニョレージョ (Civita di Bagnoregio) へ行き、大聖堂の開いている時間を調べてオルヴィエートへ行ったつもりでしたが、閉まっていました。
オルヴィエート大聖堂の正面から見ると、下部の太い柱部分には創世記などのエピソードの浅浮き彫りで装飾してあります。ゴシック建築でよくみられるバラ窓、モザイクも美しいです。
大聖堂の見学は有料で、サン・ブリツィオ礼拝堂 (Cappella di San Brizio) やコルポラーレ礼拝堂 (La Cappella del Corporale) なども見たかったので、今回は残念でした。
オルヴィエート大聖堂ホームページ: Duomo di Orvieto
聖アンドレア教会 (Chiesa di Sant’Andrea)
レプッブリカ広場 (Piazza della Repubblica) には1013年に建築された聖アンドレア教会と12角形の鐘楼が建っています。1926年に大幅な修復が行われています。
日が暮れてから教会内に入ったので、幻想的な雰囲気でした。
この教会は予約すると教会の下の地下室を見学できるそうです。地下室は、紀元前の青銅器時代の発掘物から古代ローマ時代、初期のキリスト教時代のもの彫刻や遺跡があります。オルヴィエート大聖堂も地下へ行くことができ、古代の地下都市の様子が見れるそうで興味深いです。


聖パトリツィオの井戸 (Pozzo di San Patrizio)
オルヴィエート駅と丘を結ぶケーブルカーの駅の近くには、聖パトリツィオの井戸があります。
オルヴィエートに一年中水を確保するために、1527年から10年かけて建設された深さ62mの井戸があります。オルヴィエートの丘を掘って崖の下の水が汲めるようになりました。2重の螺旋階段があり、上りと下り用に使用されていました。
こちらも営業時間に間に合わず、行けなかったので、次の機会があれば行ってみたいと思います。
オルヴィエートの観光サイト”Orvieto Viva”より: Pozzo di San Patrizio