ウンブリア州のオルヴィエートから車で30分の所にある、ラツィオ州のチヴィタ・ディ・バニョレージョへ行ってきました。

オフシーズンに行ったので、チヴィタの観光案内所や、お店も半分ぐらいが閉まっていました。
この道を歩いて行くと、チヴィタが一望できる広場に行くことができます。

大自然の中にある台地に町があり、町全体が浮き上がって見える感じがします。


展望台の近くから階段を下りて行き、チヴィタ方面に道路を下っていくと、小さなチケット売り場があります。2013年より橋を通過するのにチケットが必要になりました。導入当時は1.5ユーロだったのが、2023年には5ユーロになっていました。チケットは、ウェブサイトでも事前購入できます。



この300mの橋を渡って町に入っていきます。
観光客は徒歩でしか町に入ることができませんが、住民の方はバイクやカートを使用していました。2024年の時点で住民は13人しかいないそうです。たまたま入ったお土産やさんの男性は、ここのお店は僕の土地と建物だけど、別の場所(バニョレージョ)にも家を持っているので、そこから毎日往復してるよ、と話してくれました。
チヴィタは「La Città che muore(死にゆく町)」と言われています。2500年以上前に丘の上につくられた町で、浸食、地震、風や地滑りの影響で丘の周囲が崩壊して、建物も崩れる危険があります。中世は、現在の約3倍の広さがあったそうです。
また過去500年の間に20%縮小したとも言われています。2023年にはイタリアの経済省からの援助で、水を排水し地滑りを軽減するための井戸を設置したりしているそうです。
町の入口にあるポルタ・サンタ・マリア (Porta Santa Maria) から町に入っていきます。以前はポルタ・カーヴァ (Porta Cava) と呼ばれていましたが、近くにサンタ・マリアに捧げる教会ができたので、サンタ・マリア門と呼ばれるようになったそうです。
昔は入口が5つあって、門が2つあったそうですが現在は唯一残されたサンタ・マリア門から町へ入ることができます。


門を出ると、古い町並みがあります。
当時使用されていた家の多くは、今はB&Bなどの宿泊施設やレストランやショップに改装されています。宿泊する人は、スーツケースを転がしながら、連絡橋や階段を上っていたので大変そうでした。
町自体が小さいので、門から100mほどで、サン・ドナート広場 (Piazza San Donato) に着きます。
広場には、サン・ドナート教会 (Chiesa di San Donato) があります。元々は5世紀に古代の大聖堂が建設され、改修、再建されましたが、1695年の大きな地震で被害を受け、大聖堂はバニョレージョに移され、新しい教会が建設されました。古代のデザインを変更しないように再建されたそうです。教会内はシンプルで、装飾品も少ないなか、木製の十字架が印象的でした。


サン・ドナート広場から、さらに進んで行くと、詩人の庭園 (Il giardino del Poeta) があります。

写真の左下に写っている所が庭園ですが、寒い時期だったので、寂しい庭園になっていました。そして、庭園より目を惹かれたのが、壮大に広がる
カランキ渓谷 (Valle dei Calanchi) です。この渓谷も浸食、風の影響、地滑りや地震などで、日に日に姿を変えています。
詩人の庭園の入口から急な下り坂があるので、下っていくと、崖の下に着きます。
この崖の下に小さな洞窟があります。鉄格子があって中には入れませんが、牢獄のマドンナ礼拝堂があります。
この洞窟は、元々はエトルリア(紀元前8世紀から紀元前1世紀に中央イタリアに存在した都市国家)の墓であり、1965年の大地震で崩壊した牢獄の一部でもありました。その後、牢獄のマドンナ礼拝堂になったそうです。
崖の上にも建物が建っていますが、浸食が進んでいて、落ちてきそうで怖かったです。




礼拝堂をを見た後は、中心地に戻っていきます。
ドナート広場に、”Bel Vedere (見晴らしが良い)” の標識があったので見に行きました。ベルヴェデーレからは北にあるルブリアーノ (Lubriano) 方面を見晴らせます。浸食されいるのがわかります。
ベルヴェデーレからチヴィタを横に見ると、崖に1本の木があります。
数年後には、この木も崖の下に落ちているんだろうなと思うと、自然の脅威を感じました。
チヴィタ・ディ・バニョレーゼは、ずっと行ってみたかったので町の1つだったので、今回行ってみてよかったと思います。
公共交通機関では行きにくい場所にあり、車以外でチヴィタへ行く場合は、オルヴィエートからツアーなどもあるので、機会のある方は是非訪れて欲しいと思います。