フィレンツェはイタリアの真ん中辺りにあるトスカーナ州の州都です。
紀元前59年のローマ時代に設立され、中世には羊毛を中心とした毛織物の製造と金融で経済が発展していきました。銀行や政治の中心にあったメディチ家の財力で、13世紀から16世紀にかけてルネサンス時代の主役である芸術家たちがフィレンツェに集まり、芸術や文化も大きく発展していきました。この時代に建設された歴史的建造物がが建っている市街中心部は、「フィレンツェ歴史地区」としてユネスコ世界遺産に登録されています。
今回は2日間の日程でフィレンツェの歴史地区を歩きました。スマフォの万歩計も二日とも18000歩越えでした。
1日目はドゥオーモ広場から、フィレンツェを一望できるミケランジェロ広場まで以下の行程で観光しました。
フィレンツェの Google map
➀ドゥオモ広場
②ジョットの鐘楼
③ダンテの教会 (Chiesa di Santa Margherita dei Cerchi)
④ダンテの家
⑤シニョリーア広場
⑥ヴェッキオ宮殿
⑦ウフィツィ美術館
⑧ポルチェッリーノの噴水
⑨ポンテヴェッキオ
⑩サンタ・クローチェ聖堂
⑪ミケランジェロ広場
⑫聖サルヴァトーレ・アル・モンテ教会
⑬聖ミニアート・アル・モンテ教会
➀ ドゥオーモ広場 (Piazza del Duomo)
フィレンツェといえば、まずはドゥオーモを思い浮かべる人が多いと思います。
ドゥオーモ広場についてすぐにチケット売り場に行きました。クーポラは日時指定の予約が必要で、チケット売り場の入口のモニターにあと何枚チケットが残っているかが表示されています。

行ったのがオフシーズンでしたが、当日分はソールドアウト。翌日の8時15分~9時の枠があいていたので、この時間のチケットを購入しました。フィレンツェに行く日が決まっていて、クーポラに上りたい場合は、ホームページからクーポラの希望日時を指定して早めにチケットを購入した方がいいと思います。
大聖堂には3種類のチケットがあります。
Brunelleschi Pass ⇒ クーポラ、鐘楼、博物館、洗礼堂、ドゥオーモ地下にある古代大聖堂
Giotto Pass ⇒ 鐘楼、博物館、洗礼堂、ドゥオーモ地下にある古代大聖堂
Ghiberti Pass ⇒ 博物館、洗礼堂、ドゥオーモ地下にある古代大聖堂
クーポラに上るブルネッレスキパスを購入すれば鐘楼へも上れるので、まずは鐘楼に上ることにしました。
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂ホームページ → Duomo di Firenze
② ジョットの鐘楼 (Campanile di Giotto)
クーポラ、鐘楼、洗礼堂、古代大聖堂に入る時は、小さいカバン以外は博物館の隣にある手荷物一時預かり所に預けます。

ジョットの鐘楼は約15mの正方形の形をしていて、高さが84.7mあります。
この鐘楼は1334年にジョット・ディ・ボンド―ネ (Giotto di Bondone) のプロジェクトによって建築が始まりました。
ジョットは3年後に亡くなり、アンドレア・ピサーノ (Andrea Pisano)、その後フランチェスコ・タレンティ (Francesco Talenti)が引き継ぎ、1359年に完成しました。
鐘楼の下の部分、入口の上にある六角形のパネルのレリーフは神がアダムとエヴァを創造したシーンから、牧畜、音楽、ワインなどの発明、天文学、医学、建築などの技術の浅浮彫りで装飾されています。
その上の菱形のパネルにはキリスト教の七つの美徳 (知恵、勇気、制約など)やキリスト教の7つの秘跡 (洗礼、告白、結婚など)などが描かれています。

鐘楼は予約制ではないので、鐘楼前の列に並んで順番がくるまで20分程待ちました。エレベーターはなく、414段の階段を上っていきます。
時々、休憩しながら上までたどり着きました。




鐘楼からはフィレンツェの街並みを一望できます。写真でひと際目立つ大きな広場は、大きさ75m×100mのレプッブリカ広場です。
フィレンツェの街並みを満喫したら、ドゥオーモに行きたかったのですが、並んでいる列があまりにも長かったのでダンテの教会に向かいます。
③ ダンテの教会 (Chiesa di Santa Margherita dei Cerchi)
ダンテの教会の正式名は、サンタ・マルゲリータ・デイ・チェルキ教会で、ベアトリーチェ教会とも呼ばれています。
1032年にはこの教会が存在していたので、フィレンツェの中では古い教会の1つです。
詩人ダンテとベアトリーチェは1274年、9歳の時に出会い、9年後の18歳の時に再開し恋に落ちましたが、その2年後にダンテは親の勧めでジェンマ・ドナーティと結婚しました。ベアトリーチェは1287年にシモーネ・デイ・バルディと結婚し、1290年に亡くなりました。

ベアトリーチェが亡くなった時、ダンテは絶望し、その頃にベアトリーチェの恋心や悲しみをまとめたものが、ダンテの詩集「新生」です。

ベアトリーチェ・ポルティナーリは、ダンテ教会に埋葬されていると言われています。実際は嫁いだ先のバルディ家の埋葬先であるサンタ・クローチェに埋葬されている可能性が高いですが、今でもベアトリーチェにメッセージを残す人達が沢山います。


ダンテ教会にある絵画の1つですが、1928年にベアトリーチェとシモーネの結婚式が描いてあります。
右端にいる赤い服を着たダンテが辛そうな、深刻な表情をしています。
④ ダンテの家
ダンテの教会の向かい側にダンテの家 (博物館)があります。ダンテの生涯を時代別に分けて展示しています。
ダンテの家ホームページ: casa di Dante

⑤ シニョーリア広場 (Piazza della Signoria)
以前は公衆浴場や羊毛フェルトなどの製作所、教会などがあった場所が13~14世紀に広場の建設の為に取り壊されました。
広場には14世紀に市庁舎であるヴェッキオ宮殿 (Palazzo Vecchio) が建設され、広場は政治の中心地になりました。

14世紀に建設されたロッジャ・ディ・ランツィ (Loggia di Lanzi) は広場で開催される集会や儀式を行うために使用されました。16世紀には政治的意味を持つ彫像を展示しました。一番有名なのが、ベンヴェヌート・チェッリー二 (Benvenuto Cellini) のブロンズ像、メドゥーサの頭を持つペルセウスです

広場にはネプチューンの噴水や、メディチ家のコジモ1世の騎馬像もあります。
1498年にはメディチ家による独裁政権を批判し、後にフィレンツェで神権政治(宗教指導者が政治を行う)を行ったジローラモ・サヴォナローラ (Girolamo Savonarola) がネプチューンの噴水前で、絞首刑ののち火刑にされました。噴水前のその場所には、記録が書かれたプレートが埋め込まれています。
⑥ ヴェッキオ宮殿 (Palazzo Vecchio)

ヴェッキオ宮殿は、ドゥオーモと同じ建築家のアルノルフォ・ディ・カンビオ (Arnolfo di Cambio) によって1314年に完成しました。
宮殿前には、共和制のシンボルであるミケランジェロのダビデ像のレプリカがあります。本物は1873年にアカデミア美術館に移動されました。

高さ約95mのアルノルフォの塔 (La torre di Arnolfo) は223段の石の階段から上ることができます。塔には囚人を収容する小さな部屋もあり、ジローラモ・サヴォナローラも閉じ込められていました。
ヴェッキオ宮殿は現在も市庁舎として使用されていますが、一部は博物館になっています。
現在も発掘調査は続いていますが、地下に保存されているローマ劇場の遺跡や庭を見ることができます。豪華に装飾された部屋もあり、特にサローネ・デイ・チンクエチェントは大きなホール(54m×23m)で、ミケランジェロの彫刻(Genio della Vittoria) なども展示されています。
ホールの壁画をミケランジェロに「カッシーナの戦い」と、レオナルドダヴィンチに「アンギア―リの戦い」に依頼しましたが二つとも完成しませんでした。レオナルドダヴィンチはエンカウスティーク(蝋画)の技術を取り入れましたが、上手くいかず修復不可能になったそうです。ミケランジェロは途中でローマ教皇から呼ばれ、ローマに行ってしまったというエピソードもあります。
同じ日に行ったクラスメイトファミリーは、ヴェッキオ宮殿を見学していました。


シニョリーア広場にあるRudi’s Bistroで休憩を兼ねてランチタイムです。
サラミと黒トリュフペーストのフォカッチャを食べました。ほんのりとトリュフの香りがして美味しかったです。この後、お土産屋で黒トリュフのペーストを買ってしまいました。
⑦ ウッフィツィ美術館 (Galleria degli Uffizi)
ヴェッキオ宮殿の隣にはウッフィツィ美術館があります。イタリアのルネサンス時代のミケランジェロ、レオナルドダヴィンチ、ラッファエッロ、ボッティチェッリ、ジョット、カラヴァッジョなどの作品が展示されています。

⑧ イノシシの噴水 (Fontana del Porcellino)
メルカート・ヌオヴォの横にイノシシの噴水があります。昼間にいくと、噴水の周りには人で溢れています。
このイノシシの鼻に触れると、幸運が訪れるとか、フィレンツェに戻ってくることができるなどと言われています。

鼻に触れた後に、イノシシの口の中にコインを1枚入れ、そのコインが格子の下に落ちれば幸運が訪れるとも言われています。みなさん、コインが下に落ちるまでやり直していました。
⑨ ヴェッキオ橋 (Ponte Vecchio)
アルノ川に架かるヴェッキオ橋はローマ時代から両対岸を結ぶ役割を果たしてきましたが、度々洪水の被害にあっていました。1333年の洪水で完全に破壊されてしまい、1345年に再建されました。

再建後は橋の上に食料品店もありましたが、1593年に食料品を禁止する法令がでたので、食料品店の代わりに宝石商や金細工職人などの店に代わりました。現在でもヴェッキオ橋の商店は貴金属を扱っている店が多いです。
1564年にメディチ家のコジモ1世 ( Cosimo I de’ Medici) の依頼で、ジョルジオ・ヴァザーリ(Giorgio Vasari) が、ヴェッキオ宮殿とメディチ家の住まいであるピッティ宮殿をつなぐ回廊をつくりました。


ピッティ宮殿はアルノ川の対岸にあるので、ヴェッキオ宮殿からはウッフィツィ美術館の最上階を通り、ヴェッキオ橋の高架通路を通ってアルノ川を渡り、ピッティ宮殿まで回廊でつないだそうです。
メディチ家の人々はヴァザリー回廊を利用して、安全に移動できるようになりました。
ウッフィツィ美術館の項目の写真でも、ヴェッキオ宮殿につながる回廊が見れます。
⑩ サンタ・クローチェ聖堂 ( Basilica di Santa Croce)
ヴェッキオ橋から歩いて15分でサンタ・クローチェ聖堂に到着です。
今回の訪問で、訪れてみたかった場所の1つです。
聖堂前のサンタ・クローチェ広場にはベンチもあって、沢山の人がくつろいでいました。

サンタ・クローチェは、ドゥオーモと同じアルノルフォ・ディ・カンビオの設計によって13世紀~14世紀にかけて建設されたフランチェスコ会の教会です。




側廊には芸術、文学などの巨匠たちが埋葬されています。ダンテの慰霊碑などもあり、それぞれのお墓や慰霊碑は彫像や絵画などで装飾されています。
入口でもらった聖堂内のマップを見ながら、お墓や慰霊碑、モニュメントを見て行きましたが、著名人でも聞いたことのなない人も沢山いたので、マップと照らし合わせながら見ました。
中央にある礼拝堂はアニョーロ・ガッディ (Agnolo Gaddi) のフレスコ画で装飾されています。

ペルッツィ礼拝堂 (Cappella Peruzzi) にはジョットが1311年頃に描いた福音記者のヨハネと洗礼者ヨハネの生涯のシーンのフレスコ画があります。
この隣にあるバルディ礼拝堂 (Cappella Bardi) にもジョットの聖フランチェスコの生涯を描いた作品がありますが修復中でした。


パッツィ礼拝堂 (Cappella Pazzi) はフィリッポ・ブルネッレスキ (Filippo Brunelleschi) が設計しましたが、礼拝堂は彼の死後に完成しています。
祭壇の上には小さなドームには、1442年7月4日にフィレンツェの夜空を通過した星座が描かれています。

中庭からはパッツィ礼拝堂が正面に見ることができます。
パッツィ礼拝堂は1441年から1478年と長い期間を経て完成しましたが、完成してすぐに、パッツィ家の陰謀が失敗に終わり、パッツィ家は全滅したそうです。

出口の手前にはCenacolo という14世紀の修道院の食堂があります。ドナテッロのトゥールーズの聖ルイ像 (San Ludovico di Tolosa) 、ダッデオ・ガッディ (Daddeo Gaddi) のフレスコ画などがあります。
ダッデオのフレスコ画は中央に生命の木、下に最後の晩餐、生命の木の横にある4つのシーンは修道士たちが食事中に深く考える事ができるように描かれたシーンだそうです。
サンタ・クローチェ聖堂ホームページ:Basilica di Santa Croce
⑪ ミケランジェロ広場 (Piazzale Michelangelo)
サンタ・クローチェ聖堂からグラツェ橋を渡ってミケランジェロ広場に向かいます。
丘の上にあるので歩いて30分ぐらいかかります。Google mapで調べてバスで行くこともできます。
目印になるサン・ニッロ門の近くに上り坂があるので、この坂を上っていきます。
今回は日没時間を目指して行きました。

丘の上まで上がってくると、フィレンツェの街並みが一望できます。
ヴェッキオ橋、ヴェッキオ宮殿に、ジョットの鐘楼、ドゥオーモとクーポラと町全体が見渡せます。フィレンチェを訪れた時は、是非みたい景色です。

⑫ 聖サルヴァトーレ・アル・モンテ教会 (Chiesa di San Salvatore al monte)
ミケランジェロ広場から、さらに少しだけ上っていくと、聖サルヴァトーレ・アル・モンテ教会があります。修道院も併設していて、フランシスコ会の宣教師たちが活動しています。


聖サルヴァトーレ・アル・モンテ教会ホームページ:Chiesa di San Salvatore al Monte
⑬ 聖ミニアート・アル・モンテ教会 (Basilica di San Miniato al Monte)
聖サルヴァトーレ・アル・モンテ教会から、もう少し上って行くと、聖ミニアート・アル・モンテ教会があります。ベネディクト会の修道院も併設しています。
教会の外装も内装も修繕工事中でした。


聖ミニアート・アル・モンテ教会ホームページ: Basilica di San Miniato al Monte
聖ミニアート・アル・モンテ教会の入口の階段下からも、フィレンツェの景色を堪能できます。
個人の意見を言うなら、ミケランジェロ広場から撮った写真の方が、アルノ川とヴェッキオ橋も良く見えるので良いかなと思います。

スニーカーを履いて、かなりの距離を歩きました。
フィレンツェ・パート2でも、歩き回ります。クーポラにも上ります。