2025年4月25日は、ヴェネト州にあるパドヴァ県にあるモンセリーチェとエステに行ってきました。
イタリア解放記念日 4月25日(Anniversario della Liberazione d’Italia)
4月25日はイタリア解放記念日です。
第二次世界大戦中の1945年4月25日は、イタリアがナチスドイツの占領とファシズム(ムッソリーニの独裁政治)から解放された日です。イタリアではこの解放記念日の4月25日は祝日です。
毎年、4月25日前後にイタリア解放記念日を記念して、La colonna della libertà が行われます。
毎年異なるルートで軍用車両の列がパレードします。
今年はイタリア解放80周年を記念して、連合国軍 (アメリカ、イギリス、ソ連など)と枢軸国 (イタリア、ドイツなど)両方の軍用車両100台以上が列を作って、80年前に軍隊がパレードを行ったのと同じ道路を通るそうです。

2025年のプログラムは、4月24日にフェッラーラ (Ferrara) を出発し、パドヴァ (Padova) やヴェネチア (Venezia) を通り、4日間かけて最終日の4月27日にフェッラーラに戻ってきます。

4月25日のプログラムは、ロヴィーゴ (Rovigo) → モンセリーチェ (Monselice) → バッターリア・テルメ (Battaglia Terme) → パドヴァ (Padova) → ノヴェンタ・パドヴァ―ナ (Noventa Padovana) に到着します。
前置きが長かったですが、軍用車両が通るモンセリーチェに行ってきました。
モンセリーチェ (Monselice)
パドヴァから車で南西へ25kmほど行くと、二つの丘に挟まれた小さな町、モンセリーチェがあります。
モンテリッコ (Montericco) は標高300mぐらいの丘で、麓にはモンセリーチェの鉄道駅があります。

町の中心部にあるマッツィーニ広場に行くと、
ブラスバンドが演奏をしていました。
小雨が降っていて寒かったですが、町を挙げて歓迎しているようでした。

広場にある時計台の前にも軍事車両が停止しています。仮装しているので、本当の軍隊がいるようです。軍人の衣装を着た人が、子供達にお菓子を配っていました。


朝の9時にロヴィーゴを出発して、9時半にモンセリーチェに到着、その後10時半にバッターリア・テルメへ向けて出発します。
広場を一通り回り、出発まで時間あったので、マッツィーニ広場からサントゥアーリオ通り (Via Santuario) へ行きました。

町自体は小さな町なので、まずマッツィーニ広場へ行き、そこからサントゥアーリオ通り (Via Santuario) を上って行くとモンセリーチェ城(Castello di Monselice) があります。

モンセリーチェ城は11世紀~13世紀に邸宅、城、エッツェリニアーナの塔 (Torre Ezzeliniana) などが建築されました。15世紀には城を購入したマルチェッロ家が宮殿を建てました。
モンセリーチェ城は約1時間かけてガイドと一緒に見学することができます。
モンセリーチェ城ホームページ: castello di Moselice
サントゥアーリオ通りを上っていくと右側に旧大聖堂があります。
この時点でパレードが始まるサイレンがなったので、マッツィーニ広場に戻ることにしました。
今回は行けなくて残念だったのですが、このサントゥアーリオ通りを上って行くと、聖域である7つの教会 (Santuario delle Sette Chiese) があります。
上り坂に6つの小さな礼拝堂が並んでいて、その上にサン・ジョルジョ礼拝堂 (Oratorio di San Giorgio) があります。
サン・ジョルジョ礼拝堂の先にはヴェネツィアの貴族であったドゥオード家が建てたヴィッラ・ドゥオード (Villa Duodo) があります。これらの礼拝堂は16世紀にヴィッラ・ドゥオードを建築したヴィンチェンツオ・スカモッツィ (Vincenzo Scamozzi) がドゥオード家からの依頼で建築した個人の礼拝堂です。
サイレンがなってから約30分後の11時過ぎにパレードが始まり、ゆっくりと軍事車両が通り過ぎていきました。
車両からは、手りゅう弾ではなくお菓子を投げていました。

マッツィーニ広場の前に、サン・パオロ博物館 (Museo San Paolo) があります。
7世紀~8世紀に建てられたサン・パオロ教会でしたが、神聖な遺物などは全部取り除かれて、モンセリーチェ市に売却されたそうです。現在は旧サン・パオロ教会の内部を見学でき、モンセリーチェの歴史などを紹介した博物館になっています。


サン・パオロ美術館前には、マリオ・ボッタ (Mario Botta) が手掛けたボッタの噴水があります。
サン・パオロ美術館ホームページ: Museo San Paolo Monselice
アルクア・ペトラルカ ( Arquà Petrarca)
モンセリーチェから車で10分、アルクア・ペトラルカに行きました。
イタリアで最も美しい村の1つで、元々はアルクアという名前の村でしたが、晩年にこの村に住んでいた詩人フランチェスコ・ペトラルカの名前をつけたそうです。


村にはサンタ・マリア・アッスンタ教会 (Chiesa di Santa Maria Assunta) があります。
教会の中に入ると、花のような良い匂いがしました。

教会の前には、詩人フランチェスコ・ぺトラルカの墓があります。ダンテと同じくルネサンス期の詩人で、抒情詩集が有名だそうです。

フィレンツェに出身のフランチェスコ・ペトラルカが晩年に住んでいた家も、博物館として保存されています。
丘にある村なので、緑と教会が調和して美しい景色でした。
エステ (Este)
パドヴァ県3つめの村(町)のエステです。モンセリーチェからは車で15分、アルクア・ペトラルカからは20分でエステへ行くことができます。
エステは鉄器時代から古代ヴェネチア人が住んでいたと言われ、紀元前2~3年にはローマの植民地になっていました。
カッラレーゼ城 ( Castello Carrarese) は、11世紀に貴族であったエステ家が、邸宅を建て、壁で要塞化したのが始まりです。中世に幾度かの攻撃をうけて城壁や塔は崩壊しましたが、1388年以降、ウベルティーノ・ダ・カッラーラ( Ubertino da Carrara) によって再建されました。

現在は、周囲が約1㎞の城壁と2つの塔が残っています。1887年からエステ市所有になり、城壁周りの庭などは自由に入ることができます。
城壁の上を歩いたり、塔に上る場合は有料になります。

城壁の外側には、エステ博物館 (Museo nazionale atestino) があります。
イタリア解放記念日を記念して、入場料が無料でした。



考古学博物館なので、発掘された物などが展示されています。鉄器時代、青銅時代、石器時代、様々な時代にわけて陶器や工芸品などが展示されています。黒と白のモザイクやミイラ、古代ローマ時代のアウグストゥスのメダルなどがも見ることができます。
エステ博物館:Museo Nazionale Atestino
町の中心部のマッジョーレ広場 (Piazza Maggiore) です。
市庁舎やスカラ家の宮殿など中世の時代に建築された建物が広場を囲んでいます。
雨も降っていたので人通りが少ないです。

現在の塔のポルタ・ヴェッキア (Torre civica di porta vecchia) が建っている場所には、南 (ロヴィーゴ、フェッラーラ)と西 ( モンタニャーナ、マントヴァ) からエステへ来る人達の玄関口である石積みした塔がありました。1688年の地震で崩壊したため、1690年に再建されました。


8世紀に再建されたドゥオーモは、聖テクラに捧げられています。ポルタ・ヴェッキア同様、地震で崩壊したので再建されています。
オープン時間外だったので、中には入れませんでした。
ドゥオーモ・サンタ・テクラホームページ: Duomo Santa Tecla
ドゥオーモからマッジョーレ広場を越えて約10分歩いたところに、サンタ・マリア・デッラ・グラツェ聖堂 (Basilica di Santa Maria delle Grazie) があります。



この聖堂は、エステ家のダッデオ・デステ(Daddeo d’Este) が聖母マリアに捧げられた教会と併設した修道院を建設できるように多額の寄付をし、その事を遺言に残しました。ダッデオが亡くなり、その息子も早くに亡くなったので彼の遺志を叶えることができなくなりました。

そこでヴェネチア共和国が遺言通りに教会と修道院の建築を進めるように指示しました。
始めは修道院の建設から始まり、教会は1479年に奉献されました。
1717年以降に再建され、鐘楼と八角形のクーポラ (ドーム)は19世紀に建築されています。
身廊の中央には、ジョヴァンニ・バッティスタ・バルディ (Giovanni Battista Baldi) が描いた「聖母マリアの戴冠」のフレスコ画があります。
クーポラを見上げると、4人の福音記者のフレスコ画がありますが、こちらもジョヴァンニが描いています。聖堂内のフレスコ画は19世紀後半から20世紀の初めに描かれました。

サンタ・マリア・グラッツェ聖堂ホームページ: Basilica di Santa Maria delle Grazie
4月25日の天気予報は午前9時ごろには雨が止む予報だったのですが、夕方ぐらいまで降ってました。。。
パドヴァ県にはモンセリーチェ、エステ、アルクァ・ペトラルカのような小さい町が他にもあるので、機会があれば行ってみたいと思います。