タルヴィージオは、イタリア北東部からスロベニアまで続くジュリア・アルプス山脈で素晴らしい自然の景色を楽しめる場所がたくさんあります。
まずはタルヴィージオ近郊にある2つの山に行ってきました。
Monte Santo di Lussari (ルッサーリ山)
ルッサーリ山は標高1789mの山です。
タルヴィージオ近くにあるカンポロッソ (Camporosso) からロープウェイで頂上近くに行くことができます。
歩いて登る場合は、登山道を2時間半~3時間かけて登っていくこともできます。登山道は2つあり、カンポロッソからの登山道と、ヴァルサイゼラ (Valsaisera) からルッサーリ山に行く登山道があります。
カンポロッソにある登山ルートを利用する場合は、ロープウェイ乗り場前にある大きな駐車場に車を止めて行くことができるので、登りはロープウェイで下りは歩くこともできます。
イタリア語ですが、お勧めのサイト、Escursioni Friuri-Monte Lussari,il sentiero del Pellegrinoで登山道のルートが記載されています。


今回は体力不足のため、ロープウェイで行きました。料金は往復で大人1人14ユーロ (2020年夏時点の料金 )でした。
行った日は天気も良くなかったので観光客は少ないです。屋内ではマスク着用が義務付けられているので、ロープウェイの中でもマスク着用です。ロープウエイに乗る前もアルコールで手を消毒します。


ロープウェイを降りると、かわいい村がみえます。
ロープウェイから降りてすぐの所に、ルッサーリ山の一つ目の頂上(十字架)があります。ここは標高1760mです。
景色を堪能したら村の方に向かって歩いていきます。


道も舗装されていて、お土産屋、レストランとホテルが数軒あります。
“Lussari” と書いてあるキーリングなどに目が行って買ってしまいます。

この道を進んでいくと、もう一つの頂上に行くことができます。
1789mの頂上から見える景色で、すぐ下に教会とお店の屋根も見えます。
その向こう側にはロープウェイ乗り場と、先に見た頂上の十字架が見えます。
2つの頂上からの景色を見たあとは、教会に行きました。


このルッサーリ山の教会には、伝説があります。
1360年に山の麓にあるカンポロッソの羊飼いが、羊をつれてルッサーリ山の山頂にきていました。そこで羊飼いはマリア像を見つけ、それを持ち帰って司祭に渡すと、司祭は棚の中にマリア像をいれました。
その翌日、羊飼いが羊をつれて再びルッサーリ山に登りました。頂上で昨日、司祭に渡したはずのマリア像を見つけ、それを持ち帰り再び司祭に渡して、司祭は棚の中にマリア像をいれました。同じことが3回繰り返されたので、この不思議な現象を伝えるために、司祭はこの領土の権力者の所に行きました。
その後、このマリア像を祀るために、ルッサーリ山に礼拝堂が作られたそうです。
この礼拝堂は落雷や戦争中に爆撃の被害を受けましたが、2000年に改築され現在の姿になったそうです。
この伝説も興味深いですが、ルッサーリ山は巡礼の地でもあるそうです。
巡礼の時期は、聖ヨハネの祝日の6月24日から10月の第一日曜日までです。
登山ルート(カンポロッソ側からの登山道)は”十字架の道行き”でもあります。
登山道にキリストの受難から埋葬までの14シーンがあり、巡礼者はそこで祈りを捧げるそうです。
十字架の道については、ウィキペディアの十字架の道行きを参考にしてください。



頂上の近くに最後の13番目と14番目のシーンがありました。13番目は十字架から降ろされた場面と、14番目はお墓に葬られる場面が描かれています。
ルッサーリ山公式ホームページ ⇒ Monte Lussari
Albergo e Ristorante Rododentro
お昼は、ロドデントロに行きました。



屋内にも席がありますが、アルプスを一望できるテラス席に行きました。
オーストリアとの国境にいるので、グーラッシュなどのオーストリア料理もあります。


ハムにホースラディッシュ (西洋わさび) がついてくるのも、オーストリアやドイツのようです。
ポレンタはイタリアだけでなく、ヨーロッパの山岳地帯で食べられているそうですが、オーストリアでも食べられているんでしょうか?
ポレンタは、ソースに絡ませて食べるのが好きですが、グーラッシュともよく合います。



タリアテッレのミートソースは、メニューには猪肉と書いてあったので、子供用に普通の合いびき肉のミートソースにしてもらいました。
スカロピーア (薄切りの牛肉)にキノコソースをかけたメイン料理は、キャベツの酢漬けのザワークラフトみたいなのが付け合わせです。料理をみても国境にきてる感じがします。
公式ホームページ ⇒ Albergo e Ristorante Rododentro
フォルノ山 (Monte Forno, Tre confini)
標高1508mのフォルノ山は、トレ・コンフィーニ(3つの国境)とも言われていて、山頂はイタリア、スロベニアとオーストリアの国境になっています。
山頂に行くには、イタリア側からはフジ—ネ湖近くの Fusine Valromana から始まる登山道 (CAI522) から登ることができます。1時間半ぐらいで登れるそうです。
今回は、オーストリア側のアルノルトシュタイン (Arnoldstein) からリフトに乗りました。


リフトはロープウェイとは違って、足元もよく見え山の風も気持ちよかったです。20分弱で山頂近く(1450m)に到着しました。


目指すのは、遠くに見えるフォルノ山の頂上です。
坂を少し下ってから再び登ります。


登っている時に蟻塚を見つけました。この蟻塚の近くには、いくつも蟻塚があり、大きな蟻が沢山いました。
少し歩くと、オーストリア側の景色が見渡せます。雲で隠れて山頂が見えにくいですが、ドブラッチ山 (Dobratsch) です。
リフトを降りてからフォルノ山の山頂までは、20分ぐらいで歩けるそうですが、40分ぐらいかかりました。


この場所がフォルノ山の頂上であり、3つの国境がある所です。写真では読みにくいですが、標識の右には、SLOVENIJA、左にはイタリア側のFRIULIと書いてあります。後ろにあるオーストリア側の標識は見えませんが、KARNTENと書いてあります。
この国境(標識の周り)をクルクルと回ると、3か国を行き来してることになります。日本の様に島国に住んでいると不思議な感じになります。
今では国境のコントロールもなく、登山を楽しむ人の癒しの場所になっていますが、スロベニアのEU加盟、シェンゲン協定が結ばれる前は、国境はフェンスなどで囲まれていたそうです。
シュニットプンクト・アム・ベルク (Schnittpunkt am Berg)
フォルノ山の頂上から降りてきて、リフト乗り場横にあるレストラン、シュニットプンクト・アム・ベルクに来ました。
オーストリア側にきてるので、リフトに乗る時からドイツ語です。


タルヴィージオのレストランのメニューにはイタリア語の下にドイツ語で書いてあった気がしますが、オーストリアではドイツ語のみの記載です。
今日は出発時間が少し遅かったので、ランチタイムが14時になってしまいました。
写真を撮る前に、もう食べ始めてます。。。


小さなコーヒーカップに入っているのは、グーラッシュです。
ウィーナーシュニッツェ (WienerSchnitzel) は、薄い豚肉のスライスにパン粉を付けて揚げたものです。ミラノ風カツレツもそうですが、薄いお肉を使っているので、柔らかいです。
日本の1㎝ぐらいあるジューシーな豚カツが懐かしいです。。。
ベルクのFacebook:Schnittpunkt am Berg
食後は歩いて下山することにしました。



標識をみると、リフトを乗った町のアルノルトシュタイン (Arnoldstein) まで1時間45分と書いてあります。

歩き始めて1時間弱で、小さな池がありました。
頂上付近でみた、ドブラッチ山を覆っていた雲もなくなり、全貌が見えます。
日陰が少なかったので、太陽の光を全身に浴びて暑かったです。
途中で怪しい毒キノコなどを見ながら下山しました。ゆっくり歩いてリフト乗り場に着くまで2時間半かかりました。
1時間45分という標準時間は、誰を基準にしてるのでしょう。。。きっと成人男性の体力のある方なら余裕でこの時間で下山できそうです。

今回は、ルッサーリ山と、フォルノ山、2つの山に登ってみました。
キリスト教の巡礼地でもあり、観光地でもあるルッサーリ山と、戦争や紛争で支配下が変わっていた3つの国の国境があるフォルノ山と、タイプの違う山でしたが、二つの山とも頂上での見晴らしは素晴らしかったです。